転職の自己PRの書き方。強みを書く欄ではなかった1つの理由

転職の自己PRは、強みを書く欄ではなかった スキルと学び直し

自己PRの欄を、私は長いあいだ「強みを書く欄」だと思っていました。

違いました。ここは、その強みを応募先のどの仕事でどう使うかを書く欄でした。

強みの名前だけを書いた自己PRは、読まれずに流れていきます。主体性、課題解決力、行動力。この手の言葉は、応募者の多くが書きます。書いた瞬間に、ほかの書類と区別がつかなくなります。

私は書類も含めて二桁落ちました。落ちているあいだ、自己PRはほとんど直していませんでした。直し方が分かったのは後半です。そのときにやったことを書きます。

強みの名前は、自己申告でしかない

まず、なぜ効かないのかから書きます。

強みの名前は、こちらが自分で自分に付けたラベルだからです。

「主体性があります」と書いても、読む側にはそれが本当かどうか分かりません。確かめる手段がない。だからその一行は、判断の材料になりません。

もう1つあります。同じ言葉が並ぶことです。主体性、責任感、課題解決力、粘り強さ。応募する側の多くが、同じ棚から言葉を取ってきます。書いた本人は自分のことを書いたつもりでも、読む側には同じ紙が積み上がっているように見えます。

私が最初に書いていた自己PRも、作りはこれと同じでした。実物はそのまま載せられないので、同じ作りの架空の例文に置き換えます。

(例)私の強みは主体性です。前職では課題を自ら見つけ、周囲を巻き込みながら改善に取り組んでまいりました。この主体性を活かし、御社でも貢献したいと考えております。

この作りのものを、応募した全部の会社に出していました。いま読み返すと、この文章はどこの会社に出しても成り立ちます。

成り立ってしまう文章は、読む側にとって情報がゼロです。落ちたのは当然だったと思っています。

書き換えの型は、3つの箱だけ

直したあとの型を書きます。中身を3つの箱に分けました。

  1. できること — 強みの名前ではなく、動作で書く
  2. その根拠になる、具体の1件 — 複数並べない。1件だけ
  3. 応募先でどう使うか — その会社のどの仕事で使うのかを名指しする

書く順番も、この通りにしました。

① できることは、動作で書く

「課題解決力があります」を、動作に置き換えます。何ができるのかを、目に見える形にする作業です。

  • ×「課題解決力があります」
  • ○「数字が落ちている原因を切り分けて、どこから手をつけるかを決められます」

置き換えると文が長くなります。長くなっていいと思っています。短くて中身のない一行より、長くて中身のある二行のほうが読まれました。

目安として、その一行を読んだ人が「で、具体的には何をした人なの」と聞き返せるかどうかを見ています。聞き返せる文なら、動作になっています。

② 根拠は1件だけ出す

ここが本体です。①で書いたことが本当だと示す具体を、1件だけ出します。

2件3件と並べたくなります。私も並べていました。並べると全部が薄くなります。1件に絞って、その1件の中身を厚くしたほうが伝わりました。

中身の作り方は、書類本体とまったく同じです。やったことではなく、何をどう判断したかを書く。この型については通る書類と通らない書類の、たった1つの違いに書いた「状況→判断→行動→結果」がそのまま使えます。自己PRは、その4つを短く1件ぶんだけ入れる欄だと考えるようにしました。

③ 応募先でどう使うかを名指しする

最後の箱が、いちばん効きました。

ここに書くのは「貢献したいと考えております」ではありません。募集要項に並んでいる業務のうち、どれに使えるのかを名指しします。

求人票を読むと、たいてい業務内容が3つから5つ書かれています。その中から1つ選ぶ。なぜそれを選んだのかを一行添える。これだけで、その会社宛ての文章になります。

選ぶときは、求人票の言葉をそのまま引用しました。自分の言葉に直すと、どの会社の話をしているのか分からなくなります。募集要項に書かれている表現を、かぎかっこで囲んでそのまま置く。読む側にとっては、自分たちが書いた文がそこにあるかどうかが目印になります。

「全部の業務に活かせます」とは書きませんでした。1つに絞ったほうが、読んだ内容が残ります。それに、5つ全部に効くと書いた時点で、その文はまた誰の書類にもなってしまいます。

書き換え前と、書き換え後

同じ人が、同じ経験について書いたという設定で並べます。どちらも架空の例文です。

前

(例)私の強みは課題解決力です。前職では業務上の課題に対して原因を分析し、改善策を立案・実行してまいりました。粘り強く取り組む姿勢には自信があります。この経験を活かして御社に貢献したいと考えております。

後

(例)数字が落ちたときに、原因を切り分けてから手をつけることができます。前職で担当していた業務で、月次の指標が3か月続けて下がったことがありました。全体を一度に直そうとすると原因が分からなくなると考え、まず工程を4つに分けて、どこで落ちているのかを一つずつ確認しました。落ちていたのは最初の1か所だけで、そこの手順を変えたところ、翌月から数字が戻りました。御社の募集要項にある「◯◯の改善」は、同じやり方が使える仕事だと考えています。まず現状を工程に分けて数字を取り、どこから手をつけるかを決めるところから入りたいです。

文字数は増えています。読むのに時間もかかります。

それでも、後のほうが読まれました。前の文章には、この人でなければ書けない部分が1文字もありません。後の文章は、工程を4つに分けたところと、落ちていたのが1か所だったところが、この人固有の中身になっています。

強みの名前は、後の例文から消えています。消しても困りませんでした。読んだ側が勝手に名前を付けてくれるからです。

私は、全社に同じ自己PRを出していました

失敗のほうも書いておきます。

私は自己PRを1つ作って、会社名だけ入れ替えて出していました。理由は単純で、作るのがしんどかったからです。出すたびに一から書くのは無理だと思っていました。

ただ、毎回一から書く必要はありませんでした。

書き換えるのは、③の箱だけでいい。①と②は自分の側の話です。応募先が変わっても変わりません。変わるのは「どの仕事で使うか」だけです。ここだけなら、募集要項を読んで5分から10分で書けます。

この形にしてから、1社あたりの負荷が下がりました。使い回しをやめたというより、使い回す場所と書き換える場所を分けた、というほうが近いです。

最後の段落だけを差し替える。それだけで、書類の見え方は変わりました。

③が書けない会社には、まだ出さない

これはやり方というより、判断の話です。

③の箱が書けないことがあります。募集要項を読んでも、自分の②がどの業務に効くのか分からない。そういう会社が、私の場合はかなりありました。

そのときは、その日は出さないことにしました。

理由は2つあります。

1つは、書けないまま出した書類は、結局①だけの自己PRになるからです。それは、それまでに落ちた書類とまったく同じものです。同じものを出して結果が変わるとは思えませんでした。

もう1つは、面接まで進んだときに困るからです。「なぜうちなのか」に答えられません。この質問については面接で詰まる質問は、だいたい3つに絞れるに書きました。そこで使った基準は「他社に置き換えても成り立つか」でした。自己PRの③も、同じ基準で見ています。置き換えて成り立つなら、まだ書けていないということです。

出さないと決めた会社は、日をあらためて求人票を読み直したり、その会社が公開している説明を読んでから出し直しました。それでも③が書けなければ、そこは見送りました。

見送るのは怖かったです。応募数が減るからです。ただ、①だけの書類を出し続けた結果を、私はもうよく知っていました。数を出すことで解決する問題ではありませんでした。

出す前に見ている3か所

  • 強みの名前を消しても、文章が成り立つか — 成り立つなら、名前は消していい。残っていると、そこで読み飛ばされます
  • 具体が1件に絞られているか — 2件以上あるなら、弱いほうを消す。数を減らすほど、残った1件が濃くなります
  • 会社名を別の会社に入れ替えたら、成り立たなくなるか — 入れ替えても成り立つなら、③がまだ書けていません

3つ目が、いちばん引っかかりました。書き終えた直後は良い文章に見えるのに、社名を入れ替えるとそのまま通ってしまう。何度もありました。

強みを探すのをやめたら、書けた

新卒で入ったコンサルティング会社から投資会社へ、20代のうちに転職しました。自己PRに書ける素材になったのは、前の職場で毎日やっていたこと、つまり知らない業界の構造を短い期間で理解して人に説明することや、相手の話を相手が使っていない言葉で整理し直すこと、結論から書いて根拠を添えることでした。「〜力があります」の形をやめて、毎日何をやっていたかで書き直したのは後半で、そこに至るまでに書類も含めて二桁落ちています。

私は長いあいだ、自己PRが書けないのは自分に強みがないからだと思っていました。自分の中を探して、何も出てこなくて、止まっていました。

実際には、探す場所が違っただけでした。強みは自分の中ではなく、自分と応募先の仕事のあいだにありました。

同じ経験でも、応募先が変われば使いどころが変わります。だから自己PRは、自分の紹介ではなく、自分の使い道の提案なのだと考えるようになりました。そう思ってから、書くのが少し楽になりました。

強みの名前を1つも書かない自己PRを、私は最終的に出しました。書けない日は、出しませんでした。

注意していただきたいこと

これは私1人の経験にもとづくものであり、うまくいくことをお約束するものではありません。効果や結果には個人差があります。業界や職種、応募する時期によって、読まれ方も変わると思います。

記事中の例文はすべて架空のものです。私自身の経歴ではありません。

それでも、強みの名前を消して、使い道を書くという一点だけは、やってみてよかったと思っています。

3つの箱を、そのまま埋められる形にしました

この記事で書いた「できること→具体の1件→応募先でどう使うか」の型と、書き換え前後の例文を、職務経歴書テンプレートの中に組み込んでいます。想定問答50問、年収交渉スクリプト、落ちた理由の分類表をつけた4点セットです。

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買い切りです。効果や結果には個人差があります。

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