書類選考で落ち続けていたとき、私は「経歴が弱いから落ちるのだ」と思っていました。
書類も含めれば二桁は落ちています。面接まで進めば手応えも反省もありますが、書類は理由がわかりません。送って、待って、テンプレートの不採用通知が来る。それだけです。
途中で活動を1ヶ月止めたあと、通らなかった書類と通った書類を並べて見比べました。そこで見つけた違いは、経歴の華やかさではありませんでした。
通らない書類には「判断」が書かれていない
並べてみて分かったのは、これだけでした。
通らない書類は「やったこと」しか書いていない。通った書類には「何を判断したか」が入っている。
同じ仕事をしていても、言われたとおりに手を動かした人と、状況を見て打ち手を選んだ人では、書ける中身がまったく違います。私が最初に出していた書類は、前者の書き方でした。
「やったこと」だけの書き方
担当30社の契約更新業務を担当。解約防止のためのヒアリングを実施し、更新率の維持に努めた。
間違ってはいません。ただ、この文章からはその人が何を考えていたのかが一切見えません。読んだ側は「指示された業務をこなす人」としか判断できません。
「判断」が入った書き方
担当30社のうち、契約更新の時期に解約相談が来るのが年8社ありました。理由が毎回ばらばらで対策が打てていない状態でした。
個別にヒアリングして対応するやり方をやめました。理由が個別すぎて再現性がなく、対応が後手に回っていたためです。代わりに解約に至った会社の利用状況の推移を全件並べ、共通する予兆を探しました。
過去2年の解約8社を洗い出したところ、解約の3ヶ月前から特定機能の利用が落ちる共通点がありました。その指標を全30社について毎月確認する運用に変え、落ち始めた会社には相談が来る前にこちらから連絡しました。
翌年の解約相談は8社から3社に減りました。
同じ業務の話です。違うのは、「なぜそのやり方を選んだのか」と「なぜ別のやり方を捨てたのか」が書いてあることだけです。
書く順番を決めておく
20代のうちに、新卒で入ったコンサルティング会社から投資会社へ移りました。前の職場では、結論を先に置いて根拠を欠かさず添える、という文書の作法を毎日のように直されていました。それでも自分の職務経歴書は「やったこと」の羅列のままで、書類では落ち続けていました。
毎回ゼロから考えると書けません。私は次の4つを、この順番で書くことにしました。
- 状況 — どういう状態だったか。数字を1つ入れる
- 自分がした判断 — なぜその打ち手を選んだか。捨てた選択肢も書く
- 行動 — 実際に何をしたか
- 結果 — どうなったか
順番を固定すると、経歴が何社あっても同じ型で書けます。そしてこの順番は、面接で深掘りされる順番とほぼ同じです。書類を書いておくと、面接の準備をかなりの部分まで先取りできます。私の場合はそうでした。
数字がない仕事でも書けます
「自分の仕事には数字がないから書けない」と思う方もいると思います。私も最初はそう思っていました。
ただ、必要なのは売上や達成率ではなく、変化が具体的に書かれていることです。
- 毎回2週間かかっていた作業が、3日で終わるようになった
- 引き継ぎ資料がなかった業務に手順書を作り、担当が変わっても回るようになった
- 月に5件あった問い合わせの取りこぼしが、ゼロになった
どれも売上の数字ではありませんが、読んだ側は「この人は状況を変えられる人だ」と判断できます。
抽象的な言葉は全部捨てる
「主体性」「向上心」「柔軟性」「コミュニケーション能力」。私も最初は書いていました。
これらは書いても読み飛ばされます。書き手が変わっても同じ言葉になってしまうからです。書くなら、その言葉を使わずに同じことを説明してください。
| 抽象的な書き方 | 具体的な書き方 |
|---|---|
| コミュニケーション能力があります | 初対面の相手から30分で課題を引き出し、その場で論点を整理して提示できます |
| Excelが使えます | VLOOKUPとピボットテーブルで月次の集計資料を作成(3年) |
| マネジメント経験があります | 3名のチームで週次の進捗管理と、新人1名の育成を6ヶ月担当 |
全社に同じ書類を出さない
これは私が一番長くやってしまっていた失敗です。
書き換えるのは自己PRの最後の段落だけで構いません。「この強みを、応募先でどう使うか」の部分です。この段落の書き方は転職の自己PRは、強みを書く欄ではなかったに書きました。ここが書けないということは、その会社の事業を調べきれていないということでもあります。
逆に言えば、ここが書けない会社には、まだ出さないほうがいいのかもしれません。私の場合、書けないまま出した書類はほぼ全部落ちました。
提出前に見るところ
- A4で2枚以内に収まっているか
- 職務要約の最初の3行で「何ができる人か」が伝わるか
- 各社の経歴に「状況」と「判断」が入っているか
- 抽象語を使っていないか
- 数字か、数字がなければ具体的な変化が書かれているか
- 自己PRの最後の段落に、応募先の事業の言葉が入っているか
おわりに
これは私1人の経験であり、うまくいくことを保証するものではありません。効果や結果には個人差があります。業界や職種によって、見られる点は変わると思います。
それでも、二桁落ちてから気づいたことが「やったことではなく、判断を書く」の一点だったのは事実です。書類で落ち続けている方が、直す場所を1つに絞る手がかりになればと思います。
私の転職の記録そのものはこちらの記事に書いています。
書く順番を、そのまま使える形にしました
この記事で書いた「状況→判断→行動→結果」の型を、そのまま使えるテンプレートにしました。想定問答50問、年収交渉スクリプト、落ちた理由の分類表もつけています。
二桁落ちてから作った、転職の実務セット(9,800円・note)→
買い切りです。効果や結果には個人差があります。


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