在職中に転職活動をしていたとき、足りないのは時間だと思っていました。
あとから振り返ると、少し違いました。足りなかったのは考える時間ではなく、調整の時間です。日程を合わせる、連絡を返す、面接まで移動する。この3つで平日の夜が消えます。
そして、いちばん効く作業が後ろに押し出されます。書類を直す時間です。書類も含めて二桁落ちるあいだ、私はずっとこの順番が逆でした。何をどう削ったかを書きます。
1週間で使える時間を、先に書き出した
20代のとき、新卒で入ったコンサルティング会社から投資会社へ移りました。繁忙の波が読みにくい職場だったので、転職活動は平日の夜と土日で回すしかありませんでした。
最初にやったのは、自分が週にどれだけ動けるのかを紙に書くことでした。
私の場合、平日は帰宅して食事を終えたあとに1時間から2時間。土日は合わせて5、6時間。多く見積もっても、週に10時間ほどでした。
10時間あれば足りそうに見えます。実際は足りませんでした。その10時間が何に使われているかを、見ていなかったからです。
時間が消える場所は、5つに分けられた
書き出してみると、転職活動は5つの作業でできていました。
- 求人を見る — 検索して、開いて、条件を読む
- 連絡に対応する — メールの返信、電話、書類の送付
- 日程を調整する — 候補日を出して、往復して、確定させる
- 面接を受ける — 移動と着替えを含む
- 書類を直す — 職務経歴書と志望動機を書き換える
私の週10時間は、上から順に埋まっていました。1と2と3だけで、ほぼ終わります。4が入る週は、それだけで土曜が半分なくなります。
結果として、5がいつも残りませんでした。いちばん結果に効く作業が、いちばん後ろに置かれる構造になっていたということです。
削れるものと、削れないもの
5つを、削れるかどうかで分けました。削れないのは2つだけでした。
- 面接を受ける時間 — 短縮できません。相手のある時間です
- 書類を直す時間 — ここを削ると、面接の回数そのものが減ります
残りの3つは、やり方しだいで減らせました。求人を見る時間、連絡に対応する時間、日程を調整する時間です。この3つは作業量ではなく、段取りで決まります。
そこで「調整を減らして、書類を直す時間に振り替える」という一点に絞りました。以下はそのためにやったことです。
調整を減らすためにやった3つ
1. 面接を、週の一か所にまとめる
ばらばらに入れると、面接のある週は他が何もできなくなります。移動と着替えと、終わったあとの放心で、1回につき半日は溶けるからです。
私は「面接はこの曜日の夕方」と先に決めて、候補日を出すときも、その枠から出しました。相手の都合で動くことはあります。それでも、こちらから提示する枠を絞るだけで、やりとりの往復が減りました。
2社を同じ日に入れたこともあります。うまくいきませんでした。1社目が長引くと、2社目で頭が切り替わらない。同じ日に入れるなら、朝と夕方くらい離すのが私には限界でした。
2. オンラインでできないかを、先に聞く
これがいちばん効きました。移動がなくなると、1回あたり2時間から3時間が戻ってきます。半休を使わずに済む日も出てきます。
言い方はこれだけでした。
(例)在職中のため平日の日中にお時間をいただくことが難しく、可能でしたら一次面接はオンラインでご相談させていただけますでしょうか。難しい場合は、夕方以降で調整いたします。
断られたことも、もちろんあります。それでも、聞いたこと自体を咎められた記憶はありません。在職中であることは、相手も前提にしています。聞かずに全部を対面で受けていた時期のほうが、消耗していました。
3. 連絡の窓口を1つにする
連絡先が散らばると、確認する場所が増えます。私は個人のメールアドレスを1つ決めて、応募も問い合わせもそこに集めました。会社の端末とメールは使いません。
そのうえで、見る時間を決めました。朝の出勤前に10分、帰宅後に10分。それ以外は通知を切りました。日中に通知が鳴ると、返せないのに気になって、目の前の仕事の手まで止まります。
電話は日中に出られません。私は最初のやりとりの時点で「日中は電話に出られないため、メールでご連絡いただけると助かります」と書き添えるようにしました。これを書くようになってから、折り返しに追われる時間が減りました。
日程調整そのものを、間に入ってもらう選択もあります。私はそこは任せました。任せる範囲をどこで切ったかは転職エージェントは使うべきかに書いています。
有給、服装、移動の現実的な話
細かいことですが、当日にいちばん焦るのはこの3つでした。
有給の使い方
私は全休をあまり使いませんでした。半休のほうが、周りへの影響が小さかったからです。午後半休を取って、夕方の枠に入れる形が中心でした。半休を置いている会社とそうでない会社があるので、ない場合は全休か、始業前・終業後の枠で組むことになります。
理由は「私用」で通しました。作り込むと、そのあと話が続いてしまいます。詰められたことはありませんでしたが、職場の空気によっては変わると思います。
服装
職場の服装と面接の服装が違う場合、着替える場所が問題になります。私は駅のロッカーに荷物を預けて、駅ビルで着替えていました。朝から鞄が重くなるのが難点です。
服装を指定されなかった面接でも、上に羽織るものだけは持っていきました。オンラインの日は上半身だけ整えれば済みます。ここでも移動と着替えが消えるぶん、オンラインが楽でした。
移動時間
移動時間は、空き時間ではなく「準備時間」として数えました。行きの電車で、その会社に出した書類をもう一度読むためです。直前の30分に読み返したかどうかで、答えの出方が変わりました。
逆に、前日の夜に詰め込むのはやめました。寝不足のほうが当日に響きます。夜は早く寝て、朝と移動中に見る。この順番のほうが、私には合っていました。
「在職中です」を、面接でどう伝えたか
在職中であること自体は、伝えて不利になった感触がありません。聞かれるのは、だいたい次の2つでした。
- いつから働けるか
- 現職にはいつ伝えるつもりか
私はこう答えていました。
(例)引き継ぎが必要なため、内定をいただいてから1か月から1か月半ほどいただければと考えています。就業規則を確認したうえでの目安です。もし急ぎのご事情があれば、その前提で相談させてください。
ここで効いたのは、数字を1つ出すことでした。「調整します」だけだと話が止まります。目安が出れば、相手はそこから逆算できます。
やらなかったのは、忙しさを前置きにすることです。「在職中で時間がなく、準備が十分でないのですが」と言いたくなる場面はありました。ただ、これを言うと、そのあとの回答が全部その言い訳の下に置かれます。
準備そのものは、質問を3つに絞れば平日の夜でも間に合いました。何を用意したかは面接で詰まる質問は、だいたい3つに絞れるに書いています。時間がない前提で準備を組むなら、範囲を狭くするほうが現実的でした。
現職に知られないために、私がやった最低限
ここは慎重にやりました。やったのは4つです。
- 会社の端末と回線とメールを使わない — 個人の端末と個人の回線だけで完結させました
- 求人サイトの公開設定を最初に見る — 自分の経歴がどこまで公開されているのか、誰から見えるのかを確認しました
- ブロック設定に現職を入れる — 特定の企業に自分の情報を見せない設定があるサービスでは、現職と関係会社を登録しました
- SNSで転職の話をしない — 匿名でも、投稿の時間帯と内容で推測されることがあります。プロフィールから勤務先が分かる記述を外しました
住民税のことも心配しました。私が調べた範囲では、活動している段階そのものが現職に伝わる仕組みではありませんでした。住民税が関わるのは、退職と入社の手続きのほうです。
ここは制度の話なので、自治体の案内を自分で読んで、入社の手続きのときに担当へ確認しました。別の収入がある場合など、事情によって扱いは変わると思います。人づての説明で判断せず、書かれたものを読むのが早いです。
結局、平日の夜と土日をどう割り振ったか
最後は、こういう形に落ち着きました。
- 平日の朝10分 — 連絡の返信だけ。判断が要るものは夜に回す
- 平日の夜30分 — 書類を1か所だけ直す。全体を見直さない
- 土日のうち1時間 — 求人を見て、応募して、その週に詰まった場所を1つ書き出す
- 面接は決まった曜日 — 半休か、オンラインの夕方に寄せる
足し算すると、面接のない週で4時間20分です。最初に書き出した10時間より減っています。それでも、書類のほうは動くようになりました。
変えたのは量ではありませんでした。カレンダーに入れる順番を、逆にしただけです。空いた時間で書類を直すのではなく、書類を直す30分を先に置いて、残りで調整をする。
在職中の転職で本当に取り合いになっているのは、この30分だと思っています。調整に譲ると、いくらでも持っていかれます。
注意していただきたいこと
これは私1人の経験にもとづくものであり、うまくいくことをお約束するものではありません。効果や結果には個人差があります。職場の制度や繁忙、業界によって、取れる手段は変わると思います。
有給の扱いや住民税など制度に関わる部分は、勤務先の規程と自治体の案内をご自身で確認してください。また、当サイトは求人の紹介やあっせんを行っていません。書けるのは、公開されている情報にもとづく考え方と、自分の記録だけです。
短い時間で直せる形に、道具をそろえました
この記事で書いた「平日の夜30分で1か所だけ直す」をやるには、直す場所が決まっている必要があります。職務経歴書テンプレート、想定問答50問、年収交渉スクリプト、落ちた理由の分類表の4点セットは、その「どこを直すか」を毎回探さずに済ませるために作りました。
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買い切りです。効果や結果には個人差があります。


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