転職しようと思って最初に手が止まったのが、ここでした。
転職エージェントを、使うべきなのかどうか。
調べると「使うべき」と「使わないほうがいい」が同じくらい出てきます。どちらも理屈が通っていて、読むほど決められなくなりました。結局2週間ほど、登録画面を開いては閉じるだけの日が続きました。
書類も含めれば二桁落ちたあとの、いまの結論を書きます。
「使うか使わないか」で考えていたのが間違いでした
この問いの立て方だと、答えが出ません。エージェントはひとつの機能ではなく、いくつかの別々の機能の束だからです。束のまま「良い・悪い」を判定しようとすると、良い面と悪い面が同時に出てきて、永久に決まりません。
正しい問いはこちらでした。
何を任せて、何を自分で持つか。
この形にすると、判断できます。任せていい部分と、任せると壊れる部分が、はっきり分かれているからです。
任せていいこと
1. 求人を集めること
自分で求人サイトを見て回ると、時間の大半がここに消えます。条件を伝えて集めてもらう部分は、任せて損がありません。集まったものを見る目さえ自分で持っていれば、選択肢が増えること自体は不利になりません。
2. 日程の調整
在職中の転職活動で、いちばん削られるのがここでした。平日の日中に電話やメールのやりとりが発生します。間に入ってもらえると、実務の負担がまるごと消えます。削ったあとの時間をどう割り振ったかは在職中の転職活動を、平日の夜と土日だけで回すに書きました。
3. 落ちた理由を聞いてもらうこと
これがいちばん大きかったところです。個人で応募すると、落ちた理由は永久に分かりません。テンプレートの不採用通知が来て終わりです。間に人が入っていると、「経験は合っていたが、志望動機が他社でも通る内容だった」くらいの粒度で返ってくることがあります。
毎回もらえるわけではありません。それでも、数回でも返ってくると直す場所が絞れます。私の場合、ここで「書類の作り方そのものがずれている」と気づきました。返ってきた理由をどう分類したかは落ちた理由を、5つの箱に分けるに書いています。
任せてはいけないこと
1. 応募先を決める判断
勧められた求人に、そのまま出さないほうがいいと思っています。悪意の話ではありません。紹介する側は決まらないと成果にならないため、決まりやすさが判断に入ります。それは相手の仕事として当然のことで、責める話ではありません。
ただ、決まりやすさと、自分が3年後に納得しているかどうかは、別の軸です。後者は自分でしか持てません。
私は「勧められた理由を1つ、自分の言葉で言えないうちは出さない」という線を引きました。言えないときは、その会社について調べきれていないだけでした。
2. 職務経歴書の中身
添削はしてもらってよいと思います。ただし、直してもらった文章をそのまま出すと、面接で困ります。面接で深掘りされるのは、書類に書いた判断の中身です。自分で書いていない判断は、その場で説明できません。
書類の骨格は自分で作って、表現だけ見てもらう。この順番が逆になると、書類は通っても面接で崩れます。骨格の作り方は通る書類と通らない書類の、たった1つの違いに書きました。
3. 年収の下限
「いくらを希望しますか」と聞かれたときに、その場で考えて答えると低く出ます。私はここで一度失敗しました。
下限は、登録する前に自分で決めておきます。一度言った下限が、そのまま提示額になることがあります。私の場合はそうでした。間に入る人が交渉してくれるとしても、出発点を決めるのは自分です。
面談の前に、これだけ決めておく
初回の面談は、思っていたよりも早く進みます。準備なしで行くと、相手のペースで条件が埋まっていきます。次の3つだけ、先に紙に書いておくと崩れません。
- 下限の年収(現年収と同額以上。理由も1行)
- 譲れない条件を1つだけ(勤務地・働き方・仕事の中身のどれか1つ)
- いま転職する理由を1文で(前職の不満ではなく、次で何をしたいか)
3つ目は面接でもそのまま聞かれます。ここで用意した1文が、そのあとずっと使えます。
使わない選択が向いている場合
次に当てはまるなら、無理に使わなくてもよいと思います。
- 行きたい会社がもう決まっている — 直接応募のほうが早く、意欲も伝わります
- いますぐ動く気がない — 連絡が来ることが負担になります。情報だけ集めたい段階なら、まだ登録しなくてよいと思います
- 知人からの紹介で話が進んでいる — 途中で並行させると、条件の話がややこしくなります
逆に、「何から手をつければいいか分からない」段階では、使ってみる価値があったというのが私の実感です。求人を見るためというより、自分の経歴が市場でどう読まれるかを、他人の口から一度聞くためです。
結局、どうしたか
私は使いました。ただし、任せたのは求人集めと日程調整と、落ちた理由を聞いてもらうところまでです。
最初に登録したのは大手の総合型で、出てくるのは前職の延長にある同業や事業会社の経理・経営企画ばかりでした。新卒で入ったコンサルティング会社から投資会社へ、20代のうちに移ろうとしていたので、金融や投資の領域に強い特化型に切り替えてから、ようやく話が噛み合いました。効いたのは求人の数ではなく担当者がその領域を知っているかどうかで、それでも書類も含めれば二桁落ちています。
応募先を決める判断と、書類の骨格と、年収の下限は、自分で持ち続けました。この線引きをする前と後で、書類の通り方がはっきり変わりました。
変わったのは経歴ではありません。書類に「自分の判断」が入るようになったことだけです。
注意していただきたいこと
これは私1人の経験にもとづくものであり、うまくいくことをお約束するものではありません。効果や結果には個人差があります。業界や職種、時期によっても状況は変わると思います。
また、当サイトは求人の紹介やあっせんを行っていません。書けるのは、公開されている情報にもとづく考え方と、自分の記録だけです。
「自分で持つ部分」を、道具にしました
この記事で書いた、任せずに自分で持つ部分——書類の骨格、応募先を決める判断、年収の下限——を、そのまま使える形にまとめています。職務経歴書テンプレート、想定問答50問、年収交渉スクリプト、落ちた理由の分類表の4点です。
二桁落ちてから作った、転職の実務セット(9,800円・note)→
買い切りです。効果や結果には個人差があります。


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