オファー面談で年収が低い。交渉できる3つの線と、戻せなかった差

年収と市場価値

オファー面談で提示された年収が想定より低いとき、その場で承諾しなくて大丈夫です。取れる線は3つあります。持ち帰る、金額を1点だけ相談する、金額以外に切り替える、です。

順番は、まず持ち帰って回答期限をもらい、「働きたい気持ち」を先に伝えてから、金額を1点だけ相談します。難しいと言われたら、初回評価の時期など金額以外に切り替えるか、提示額で承諾します。往復は1回です。

押し返していいのか、どう言えばいいのか、取り消されないか。そこで止まっている人向けです。他社の内定額を集めることは、先にやらなくて大丈夫です。

私の場合。書類も含めて二桁落ちたあと、1社に決まりました。その面接で希望年収を聞かれ、「現状維持でも構いません」と答えています。オファー面談で出てきた提示額は、そのままその額でした。私は金額の相談をせずに承諾し、入社後の昇給では、入口の差は埋まりませんでした。押し返せる余地がどこにあったのかを、あとから作った言い方の形で書きます。「押し返して上がった」という話ではありません。

オファー面談で年収が低いとき、交渉できる線は3つ

オファー面談は、内定のあとに労働条件を説明してもらう場です。ここで出た金額は「決定」ではなく「提示」です。取れる線は3つです。

  1. 持ち帰る — その場で返事をせず、回答期限をもらいます。ここまでは交渉ではなく、確認の手続きです。
  2. 金額を1点だけ相談する — 「◯◯万円までご検討いただくことは難しいでしょうか」と、具体的な1つの金額を出します。「もう少し」では相手が動けません。
  3. 金額以外に切り替える — 金額が動かないと言われたら、初回の評価時期、等級、入社日、みなし残業の扱いなど、金額の外側に相談先を移します。

3つは並列ではなく、順番です。持ち帰らずに金額の相談を始めると、その場の空気で押し切られやすくなります。金額を飛ばして金額以外を出すと、何を優先しているのかが相手に伝わりません。

どの線を選ぶかを決める前に、内訳を見てください。基本給、固定残業代の有無と時間数、賞与の支給実績、想定年収に賞与を含むかどうか。「低い」と感じた理由が内訳の読み違いだったこともあれば、額面は求人票のレンジ内でも固定残業代を引くと想定より低い、ということもあります。

私の場合。提示額は面接で言った「現状維持」の額で来て、差は入社後に戻らなかった

面接で希望年収を聞かれたとき、私は少し考えて「現状維持でも構いません」と答えました。丁寧に答えたつもりでした。このときのことは年収は、入社したあとでは上がらないに書いています。

オファー面談で出た金額は、その額でした。上でも下でもなく、ちょうどです。相手に悪意はありません。こちらが「それでいい」と言った額を、そのまま出してくれただけです。

新卒で入ったコンサルティング会社でも、20代のうちに移った投資会社でも、私の仕事は相手が判断できるように材料をそろえて並べることでした。それなのに自分の年収については、材料を一枚も用意しないまま面接に入り、「現状維持でも構いません」と答えています。書類も含めて二桁落ちたあとだったこともあり、条件を持ち出すこと自体がためらわれて、オファー面談は交渉の場ではなく、すでに決まっていた額の説明を聞く場になっていました。

私は、その提示を押し返しませんでした。金額の話を切り出すのが苦手で、黙って承諾しました。入社後の昇給は会社の制度の枠の中で決まり、入口の差を埋めるために動く仕組みではないので、その差はそのあとも残りました。

あとから振り返ると、押し返す余地があったのは、金額そのものより「面接で言った額の訂正」でした。「面接では現状維持と申し上げましたが、業務内容を伺ったうえで改めて整理し、◯◯万円でご相談できないでしょうか」。実際にやったわけではないので、通ったかどうかは分かりません。ただ、言わなかった後悔は、言って断られる後悔より長く残りました。

提示を受け取ってから返事までの言い方(4つの順番)

言い方は、4つの順番に分けると迷いにくくなります。それぞれ一文で足ります。

  1. 持ち帰る — 「ご提示ありがとうございます。持ち帰って検討させていただき、◯日までにご回答いたします」。即答しないことは失礼ではありません。
  2. 働きたい気持ちを先に — 「条件を拝見しました。御社で働きたい気持ちは変わりません」。この一文がないと、そのあとの相談が「断る前提の交渉」に聞こえます。
  3. 1点だけ — 「ひとつだけご相談があります。ご提示は◯◯万円でしたが、◯◯万円までご検討いただくことは難しいでしょうか。現職が◯◯万円であることと、◯◯の部分で早い段階から貢献できると考えているためです」。理由は2つまで。3つ以上並べると言い訳に聞こえます。
  4. 難しければ承諾の一文 — 「難しい場合は、その旨お伝えいただければ、提示額で承諾いたします」。相手が断りやすい形にすると、かえって検討してもらいやすくなります。間にエージェントがいる場合、この一文がないと決裂を嫌って動いてくれないことがあります。

金額が動かないと言われたら、金額以外に切り替えます。「では、半年後に評価を見直す機会をいただくことは可能でしょうか」。会社側は今すぐの支出が増えないので、相談しやすい項目です。これも私が実際に通した話ではなく、あとから作った型です。

口頭で言われた条件は、書面かメールで確認します。労働条件は、労働契約を結ぶときに賃金や労働時間などを書面等で明示することが会社に求められています(出所: e-Gov法令検索「労働基準法」第15条)。2026年9月時点の情報です。ご自身のケースは、勤務先か厚生労働省の案内でご確認ください。

求人票のレンジより低いときに、根拠にできるもの・できないもの

求人票のレンジの下限を提示が下回っているとき、根拠として出せるものと、出さないほうがいいものを分けておきます。

根拠にできるもの

  • 現職の年収 — 入社の手続きで前職の源泉徴収票を出すので、盛ると食い違います。正確な額であれば、いちばん強い根拠です。
  • 求人票のレンジそのもの — 「求人票のレンジを下回っている理由を伺えますか」と、理由を聞く形にします。押すのではなく、聞く。回答の中に、評価の根拠が出てきます。
  • 担当する業務と、自分の経験の対応 — 「◯◯の業務は、前職で◯◯を判断してきた経験がそのまま使えます」。状況→判断→行動→結果の形で言えると、根拠になります。
  • 内訳の確認 — 固定残業代の時間数と金額、賞与の実績月数。交渉ではなく確認なので、遠慮なく聞いて大丈夫です。

根拠にできないもの

  • 他社の内定額 — 金額で動く人だと判断されます。実在しない内定は、あとで辻褄が合わなくなります。
  • 生活費や家賃 — 相手にとって、業務の価値と結びつかない理由です。
  • 出所のない「相場」 — 「相場ではもっと高いはず」は、どの資料のどの対象かを言えないと、そこで話が止まります。
  • 面接で自分が言った額の否認 — 「そんなことは言っていない」は通りません。言ったことは認めて、訂正する形にします。

エージェント経由なら、金額の相談はエージェントが会社に伝えます。ただ、いくらまでなら承諾するかの下限は、自分で持っておくものです。その分け方は転職エージェントは使うべきか。任せていいことと、任せてはいけないことに書きました。

交渉しないほうがいい3つの場合

  • 提示額が、面接で自分が言った幅の中に収まっている — 相談は「金額の交渉」ではなく「自分の発言の訂正」になります。訂正するなら、そのことを先に言います。私の提示額はまさにこれで、訂正の一文を持っていなかったので、黙りました。
  • 内訳をまだ確認していない — 固定残業代や賞与の実績を見る前に金額の話をすると、相談する額の根拠がずれます。確認が先です。
  • すでに1回相談して、回答が出ている — 2回目の往復は釣り上げに見えます。回答が出たら、承諾するか辞退するかを決めます。

承諾したあとは、現職への退職の申し出と引き止めが待っています。辞めると伝えたあとに条件を出されたときの見方は内定が出てからが本番だった。退職交渉と引き止めに書きました。

よくある質問

金額を相談したら、内定を取り消されませんか

「難しければ提示額で承諾します」の一文を添えた1回の相談は、断られることはあっても、それ自体が取り消しの理由になる形にはなりにくいと考えています。心配が出てくるのは、金額を何度も往復させたり、実在しない他社の内定額を出したりしたときです。不安なら、内定通知書の条件と回答期限を確認し、その期限の中で1回だけ相談してください。私はこの1回をやらなかった側です。

オファー面談で落ちることはありますか

オファー面談は内定のあとの条件説明の場で、私の理解では選考ではありません。ただ、回答期限を守るかどうかは見られています。持ち帰ると言って期限を過ぎる、連絡が途切れる、は避けたほうがいい振る舞いです。金額を1点相談することと、期限を守らないことは、相手にとって重さが違います。

持ち帰る期間は、どれくらいもらっていいですか

私は3日から1週間を目安にしていました。「◯日までに」と自分から期限を切って伝えると、持ち帰ること自体は受け入れてもらいやすいです。期限を伝えずに「検討します」だけで終えると、返事を待たせている状態になります。

注意していただきたいこと

これは私1人の経験にもとづくものであり、うまくいくことをお約束するものではありません。効果や結果には個人差があります。業界や職種、会社の給与制度によって、動く幅も、動かない理由も変わります。この記事で書いているのは額面の金額です。手取りは税や社会保険料の分だけ少なくなるので、ご自身の分は勤務先の給与担当や国税庁の案内でご確認ください。

それでも、提示をその場で承諾せず、持ち帰って、1回だけ相談するという一点は、やっておいたほうがよかったと、いまも思っています。

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